Thursday 16 December 2010

未遂を傍で偶然。

きのう地下鉄に乗ってすぐ、
傍にいた仏人の女性が急に立ち上がり、
英語で、

「そこー!見たわよー!!!!!手をどけて
 あなたのかばんの中身見せなさい!!」

と、ものすごい剣幕で、
車両中に響きわたる声で叫んでいたので、
その方向を見てみると、
数人のあるブランドの買い物袋を沢山抱えた
やさしそうな日本人観光客の方たちと
その周りに数人のスリの子供たちが居て

その声はそのスリの子たちに向かってのものでした。
それでも子供たちはこちらをにらんでいましたが、
観光客の方たちは、
こちらを見たり、かばんを見たり
戸惑っておられました。


そしてそのたくましい仏人女性は、さらに子供たちを指さし続け

「あなたたち、降りなさい!、かばんをそれ以上触るんじゃないわよ!
 早くすぐ次の駅で降りなさい!」

とずっと叫び続け、スリの子たちはしぶしぶ降りていきました。


そして
助けられた日本人の方たちの誰かが、お礼をその仏人女性に言われるかな?
と思ったのですが、
その方たちも何も言わず、同じ駅で降りて行かれてしまい、、
そのあと車両は、
やり取りを見ていた車両中の乗客たちがシーンと静まり返り。。


そこで
ひとりぽつんと残った皆からまだ見られている仏人女性のことが気になり、

「多分彼ら旅行中で言葉が分からなかったと思うの。
 あなたのおかげで助かったと思うわ。どうもありがとう。お礼を言うわね。」

と、お話しかけてみました。
そうしたら、さっきの怒っている表情とは全く別の素敵な笑顔で

「普通よ。(=当然のことよ)」とさらっと新聞を読まれていて、

勇敢なとても素敵な女性でした。


そしてそれから、
その方の斜め前に座られているムッシューが彼女と、
子供たちを責めるお話ではなく、
お金がなく教育も受けられない移民の子供たちの悪い環境、そして
子供の教育の大切さのお話をされていました。

最後にそのムッシューが降りられるとき、仏人の彼女に
「どうもありがとう。君に感謝するよ。」
と降りていかれ、

そのお言葉を聞いて、言葉ではうまく表現できないのですが、
私は静かに深くじんわりと感動していました。


当事者でもなく、日本人でもない、
このムッシューが
彼女に丁寧にお礼を言われている姿が
とても美しかったです。



貧富の差から始まり、
いろいろな人間としての立場を傍で見て、
考えさせられた昨日のメトロでした。