Wednesday 16 March 2011

ルーマニアコンクールのお話~続き~

今回のルーマニアの国際コンクールで
オープニングコンサートのときに、
主催の方がお話しされたコンクール始まりの由来、
とても素敵だったので、ご紹介させていただきます。


コンクールが始まったのは1984年。
まだ革命前のルーマニア社会主義共和国だったときのことです。
大変大変厳しい社会情勢の中、
人々はなかなか自由に音楽等に触れる機会が持てなかったそうです。


命がけで亡命するなど、
なかなか国外に出ることができないような情勢、

どうやったら世界の素敵な音楽、
新しい音楽をルーマニアの人々に提供できるか?
良い音楽に触れる機会をもつには?

と、当時のCluj-NapocaのDimaの音楽院の校長先生が考え、
思いつかれたのが、国際コンクールを開催する、ということでした。


国際コンクールをすれば、
世界中から若い素晴らしい音楽家たちが集まってくる、
社会主義の国にも外国人が入ってきやすい、
世界の音楽を傍で触れる、聴くことができる。
また、
相互のExchange、交流ができる。
そう考えられたらしいのです。


当時の環境でのこの素晴らしい発想に、私は脱帽します。
きっと当時の硬い硬い政府の時代、
政府の説得、開催の手続き、組織したり、、など、
本当にとても大変な準備作業だったのではないでしょうか。


そして、
その方の発想のおかげで、この国際コンクールが始まりました。




そういう背景があるせいか、
オーガナイザー、お手伝いの方、みなさん
とてもご丁寧に接してくださり、とてもやさしく、
私が初日練習室で練習していたらディレクターの方が
ご挨拶に顔を出してきてくださったり、、と、
審査される側、というより、お客さまのような
感謝のこもった扱いをして頂いたことがあり、
とても驚いたのをおぼえています。

でもこの由来を聞いて深く納得しました。



演奏する側、チャレンジする側も、
競争も質を上げるためにとても大事なことですが、
ずっとこの方の精神を忘れずに
演奏し続けたいものです。

つづきはまた今度。